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硝子の初恋
第12章 踏み出す勇気
「家の前でベロチュー禁止!」

静かな冬の夜にそぐわない大きな声に、まゆなは思わず高臣の身体を押し返した。

「お姉ちゃん!?」

慌てて振り返ると、まゆなの姉のあゆみが腰に手を当てて立っていた。

「げっ……」

クリスマスの出来事を思い出し、高臣は嫌そうな顔をする。

「あれから高臣くんの事調べたけどさ、キミなかなか有名人だね! 会社の後輩の女の子も知ってたし、ファンクラブとかファンサイトとかあるんだね」

あゆみは気にする様子もなく、高臣に近付く。

「えぇ!? 何それ!!」

「……ファンサイトは俺も初耳」

まゆなと高臣は顔を見合わせる。

「そうなの? そのサイトで隠し撮り写真が高値で売られてるよ! ね、写真撮らせて?」

「お姉ちゃん! 眞斗でお金儲けしないでよ!」

高臣に向けて携帯のカメラを構えたあゆみを、まゆなが慌てて止める。

「で、どんな子なの? まゆが悲しむような事を脅してさせてた立石って子は」

「は?」

「お姉ちゃん! 聞いてたの!?」

あゆみの言葉に、高臣とまゆなが驚いてあゆみを見つめた。

「聞かれて困る話を家の前でデカイ声で話す方が悪い」

ふんっと鼻を鳴らして、軽くまゆなを睨むあゆみ。

「………」

まゆなと高臣は顔を見合わせる。

まゆなの顔からは諦めと伺いの表情が見て取れる。

高臣はクリスマスのあゆみとまゆなのやり取りを思い出し、苦笑した。
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