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硝子の初恋
第12章 踏み出す勇気
止められなかった。
(手に入れられないものなんて、私にはない)

なのに、あの後、何度告白しても高臣に断られ続けた。二度と身体を重ねてくれる事もなかった。

だから、目の前であの2人が別れて嬉しかった。
泣きじゃくり、高臣に縋るまゆなの姿が惨めで、心の底から笑いが込み上げてきた。

ようやく高臣を自分のモノに出来ると思った。

なのに、

『……お前かわいそうな奴だな。ありのままの自分を認めて欲しいなら、ありのままの自分を出せばいいだろ? それとも、こんな事するのがありのままのお前なの?』

(違う!違う違う!!)

つぐみは狂ったように首を横に振る。

「好きなの!ただただ好きなの」

高臣には届かないのに、必死に声を絞り出す。

(欲しくて欲しくて堪らないのに、いつまで高臣先輩は、あの女を好きでいるの?)

つぐみはハンカチで顔を覆った。

(どうすればいいの?どうすれば、私を見てくれるの?)

「神崎さんなんか、いなくなればいい…」
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