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硝子の初恋
第12章 踏み出す勇気
「まゆ、こっち!」

先に走る高臣の自転車が、路地裏に入る。

「この中は車じゃ入れないからな」

走り去る車を確認しながら高臣がそう言った。

ドクドクと嫌な音を立てて激しく鳴る心臓が痛くて、まゆなは胸を押さえる。

「まゆ? 大丈夫か?」

高臣がまゆなの顔を覗き込む。

「う…うん……」

コンビニで待ち伏せされて、じっと見つめられて、怖かったけど、その程度なら心配ないと思っていた。

でも、大学で待ち伏せされ、その後をノロノロと着いて来るなんて怖過ぎる。

もし家の場所も知られていたら…まゆなの身体は恐怖で震えた。

「まゆ……」

いつの間にか自転車を降りた高臣が、まゆなの震える身体をキツく抱きしめる。

「制服で学校は簡単にバレるだろうけど、大学に居るとは思わなかったな。家の場所はバレないように遠回りして帰るか」

まるでまゆなの頭の中を読んだかのような高臣の言葉に、まゆなは嬉しくなると同時に、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
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