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硝子の初恋
第13章 男としてのケジメ
予鈴と共に走り去ったつぐみ。

(立石さん泣いてた……)

去り際のつぐみの目には、大粒の涙が今にも零れ落ちそうになっていた。

(言い過ぎたかな……)

まゆなだって、中学生の頃から高臣に片想いをしてきた。片想いの切なさがわからない訳じゃない。

絶対に手が届かないとわかってた時は諦められても、手が届く距離に近付けて、まして一度でも手に入れてしまえば簡単には諦められない。

(でも、それは私も同じ……)

まゆなは隣に座る高臣を見た。

「っ!」

まゆなに見つめられて身を硬くする高臣。心なしか顔が赤い。

「え? 眞斗? どう───…」

言い終わる前に、まゆなの身体は高臣の腕の中に閉じ込められていた。

「あー、キスしたい! 押し倒してここでめちゃくちゃにしたい!」

「眞斗!?」

「立石との事にケリつけるまではって我慢してんのに……あの言葉……反則だろ」

まゆなを抱く高臣の力が強くなる。

「我慢なんか…しなくていいのに……」

「…───ッ男としてのケジメ! 昨日、まゆのお母さんにもああ言ったんだし……」

少し緩んだ高臣の腕の中からまゆなは身体を動かし、高臣の唇に軽くキスをする。

「じゃあ、私からなら構わない?」

「は……?」

「眞斗の中の"ケジメ"でしょ? 私が無理矢理したならいいよね? 私も眞斗に触れたい。もう限界」

「っ───…」
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