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硝子の初恋
第13章 男としてのケジメ
「そういえば、サッカー部の一年が言ってたんだけどさ」

サッカー部の新部長の譲が切り出した。

「立石って子、最近渡辺を呼び出して話してるらしいよ」

まゆなのクラスメイトの渡辺。明らかなまゆなへの好意を見せつけられた事のある高臣の顔は不機嫌に歪む。

「まな……」

まゆなが高臣に向けて手を伸ばす。

ガシッ
その手を沙有里が掴んだ。

「よし、まゆ、渡辺と話そう!」

「え?」

「はぁ!?」

まゆなと高臣の声も無視して、言うが早いか沙有里はまゆなの手を引き歩き出す。

「あ、後でメールします!」

まゆなは残された6人に叫ぶようにそう伝えると、沙有里に手を引かれ教室へと連れてこられた。


「渡辺! ちょっと顔貸せ!」

いきなりの沙有里の怒声に、渡辺は飲んでいたジュースを豪快に吹いた。

「何? 俺、何かした?」

困惑しながらも着いてくる渡辺に、まゆなは必死に首を横に振った。

「ご、ごめんね! ちょっと話を聞きたいだけで……もう! 沙有里! 渡辺くんに失礼だよ?」

まゆなの言葉に、

「ああ、ごめん」

素直に謝り、足を止めた沙有里。ひと気のない非常階段に来ていた。
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