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硝子の初恋
第13章 男としてのケジメ
「立石さんに呼び出されたんだって?」

沙有里の言葉に渡辺が頷く。

「何て言われた?」

「……」

渡辺は言いにくそうに視線を逸らす。

「まさか付き合えとかじゃないでしょ?」

「立石は…高臣先輩が好きなんだよ」

「そんな事は知ってる! あ、じゃあ協力しろとか?!」

沙有里の言葉に、渡辺の身体がピクッと小さく揺れた。

「他人の恋心まで利用し始めるなんて、立石さんホント最低」

沙有里がため息を吐いた時、

「渡辺くん?」

渡辺を呼ぶつぐみの声が、3人の後ろから聞こえた。

つぐみの位置からまゆなと沙有里は見えないらしく、沙有里がまゆなの手を引き、慌てて物陰に身を隠した。

「ふふ…渡辺くんも誰かに呼び出されたの? 相変わらずモテるのね」

可愛らしい笑顔を作りながら、つぐみが渡辺に近付く。

「ねぇ……あの話、考えてくれた?」

「っ……」

つぐみがそっと、渡辺の背中に手を置く。渡辺はビクリと身体を硬くした。

「悪い話じゃないでしょ? 渡辺くんは神崎さんが好き。私は高臣先輩が好き。お互いの想いが叶ったらいいと思わない?」

渡辺がチラリとまゆなと沙有里が隠れる物陰の方を見た。

「でも……神崎は高臣先輩が好きで、高臣先輩も神崎が好きなんだよ」

渡辺が苦しそうに呟いた。

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