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硝子の初恋
第14章 ご褒美はスイートルームの甘い夜
「高臣く─────ん!」

「頑張ってぇ!」

高臣がスタート台に上がると、観覧席から黄色い声援が飛び交う。

「相変わらずすげー人気だな」

苦笑いで耳を塞ぐ侑吾。

「眞斗、頑張って!」

まゆなは胸の前で小さく拳を握る。

「あ、こっち見た!」

いつかのように、まゆなの後ろでそんな声が上がる。

まゆなに向けて、不敵な笑みを見せた高臣。

スタートの合図で、高臣の身体が水の中に滑り込む。そのしなやかな動きに、まゆなの目が惹きつけられ、心が引き込まれる。

いつしか遠ざかる周りの声。

高臣を見つめるまゆなの瞳には、涙が溜まっていた。

(ホントいろいろあったな)

つぐみとのトラブルからのスランプ。

触れ合えない日々。

(いつも以上に頑張った眞斗に、ご褒美をあげられますように……)

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