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硝子の初恋
第15章 それぞれの想い
「ファンの中の1人でいるのが嫌で近付いたのに、素直になれなくて…。でも、その他大勢の身体だけの関係の女の子にもなりたくなくてどうしていいかわかんなかった。もう、アイドルに恋してる心境……」

「アイドル……?」

まゆなの言葉に苦笑いする高臣。

つぐみは黙ってまゆなの話に耳を傾けていた。

「手が届かないと言い聞かせて諦めていた。でも…」

「でも、一度手が届いてしまえば手繰り寄せたくなる」

まゆなの言葉の続きを、つぐみの口が紡いだ。

「……私と…同じ想いをしていたなんて……」

つぐみの瞳から涙が零れ落ちた。

「いつか、岡元さんが言ってた…」

「沙有里が? 何て?」

まゆなが、興味深げにつぐみの顔を覗き込む。

「神崎さんの片想い……。それから、"絶対叶うわけない恋だって、なのにどうしても諦められないって何度も泣いてた"って…」

つぐみの言葉に、まゆなはいつかの沙有里を思い出していた。
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