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硝子の初恋
第15章 それぞれの想い
"切なくてもどかしくて、気持ちが溢れて泣くとか、誰でも経験してる。どうにかして手に入れたい気持ちはわかる。でも、想い合う2人を引き裂いて脅してでもなんて最低! 渡辺の気持ちまで利用して手に入れようとするなんて、あんたには片想いする資格もない!!"

渡辺の恋心まで利用して2人を引き裂こうとしていたつぐみを本気で怒る沙有里の姿を、まゆなも物陰から見ていた。

「……沙有里も片想い中だったからね」

まゆなの言葉に、つぐみは淋しそうに笑った。

「"片想いする資格もない"、ホントそうよね…。本当にごめんなさい。でも、最後の片想いの相手が高臣先輩で、その彼女が神崎さんで……良かった。これでキッパリ諦められる……」

「お前、婚約と転校の事、親と話したのか?」

黙って2人の会話を聞いていた高臣が口を開く。

「ダメでした。決定事項だから……互いの家や会社が関わってくる事だから…もうどうする事も出来ない」

俯くつぐみ。

「もう一緒に住んでんのか?」

高臣の言葉に、つぐみは頷く。

「……どんな人?」

まゆなが聞いた。

「よく喋る人……。それから…話をたくさん聞いてくれる人……」

つぐみの言葉に、高臣とまゆなは顔を見合わす。

「……ありのままの自分でいられる人?」

高臣の言葉に

「……頑張ってみます」

つぐみは恥ずかしそうに笑った。
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