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第15章 それぞれの想い

「ささささ沙有里っ、なな何を……」

顔を真っ赤にして慌てるまゆな。

「侑吾本人に教われよ」

呆れ顔で沙有里を見る高臣を睨みつけ、

「聞けたら苦労しないっての！」

叫ぶ沙有里。

「お願い、ここで実演して！」

言いながら、高臣のジャージのズボンに手を掛ける。

「うわっ、お前っ、本物のバカだろっ！！」

必死にズボンを押さえる高臣と、必死にズボンを下げようとする沙有里。

「おー！ 沙有里、いけー！」

「眞斗、ザマー」

周りの部員たちは楽しそうに囃し立てる。

「沙有里っ、もう！ やめてよっ！！」

沙有里をげんこつで叩いた後、まゆなは高臣から沙有里を引き剥がす。途端に沙有里はわーッと泣き出した。

「うわーん、侑吾を悦ばせたいのにぃー、まゆのバカぁー！」

「バカは沙有里だ」

いくら親友の頼みといえ、聞き届けてはやれない。まゆなはため息を吐く。

「ていうか、もうそういう関係なの？」

まゆなは沙有里の頭を撫でながら聞くと、沙有里は首を横に振った。

「痛くて最後まで出来ないの！ だからせめて口でしてあげたいんだよぉ。今日これから会うの！ バレンタインだから何か特別な事してあげたいんだよー」