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硝子の初恋
第15章 それぞれの想い
「んだよっ、せっかくのバレンタインにAV鑑賞会に来てやってんのに」

「観る気満々で来たくせにっ」

「はぁ?! それは眞斗の方だろっ」

「俺は観るよりヤル方がいいんだよっ」

「俺だってそうだっ」

子どもみたいな言い合いをする高臣と侑吾を引き摺るようにして、まゆなが一輝の父親のラブホへ案内をして行く。

「ここ、最近大人気のホテルじゃん!? 一輝ん家なの? すごいっ」

ホテルを前に、沙有里が歓声を上げる。

「先輩ー! こっちこっち」

バレンタインで賑わうホテル正面ではなく、裏の方から一輝が手招きしていた。

「すいません。全部屋満室で……」

頭を下げる一輝。

「バレンタインだからな」

高臣は入室を待つ車の列を嬉しそうに見やる。

「今回はどんなイベントなの?」

まゆなが高臣に聞くと、

「このホテルのイベント、かなりの人気なんだろ? 眞斗、すげーじゃん!」

侑吾が高臣の肩を叩いた。

「で? どこで鑑賞会すんの?」

ホテルの裏口から中へ入りながら高臣が聞いた。

「今日はバレンタインだからカップル限定dayなんですよ。だから、大人数部屋が空いてるんです。だからって、おっ始めないで下さいよ?」

従業員用の通路を通り抜け、更に奥へと進む。

一輝の案内で、大人数部屋と言われた部屋のドアの前に辿り着いた。
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