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硝子の初恋
第3章 後悔先に立たず
「……神崎の好きな人って、このキスマーク付けた人?」

渡辺の左手がまゆなの肩に置かれ、右手の指が、まゆなの首筋に触れる。

「え……?」

慌てて顔をあげたまゆなの目の前に、切な気に揺れる渡辺の顔がある。

「俺も……キスマーク付けたい……」

渡辺の形のいい唇がゆっくりと近付き、まゆなの首筋に吸い付く。

「わっ、渡辺くん?!」

チクリとした痛みに、金縛りが解けたように動き出すまゆなの身体。慌てて渡辺の身体を押し返した。

「……ごめん。何かムカついて……」

哀しそうに呟いて、視線を逸らす渡辺。

まゆなの胸がキュンと締め付けられた。

「あの……コレは、沙有里がふざけて付けただけで、その……好きな人は、彼氏とかじゃないから……」

いつも明るい渡辺の顔が哀し気に歪んでいるのが辛くて、気づけばまゆなはそう言っていた。

「片想いって事? じゃあまだ俺にもチャンスはある?」

渡辺の顔がぱぁっと明るくなり、まゆなはホッと胸を撫で下ろす。

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