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硝子の初恋
第5章 名前は特別の証?
「まゆ? またどっか怪我したのか?」

沙有里と保健室に入ろうとしたまゆなを、高臣が呼び止める。心配そうな瞳で、まゆなの全身を見ている。

「朝怪我した所を、お昼にもう一度見せるように言われていて……。高臣先輩は、どうしたんですか?」

一緒に保健室に入る高臣に、まゆなは問いかける。

「んー? 侑吾を呼びにね……」

ため息交じりに答えた高臣の言葉に、

「ゆゆゆゆゆ侑吾先輩ッ?!」

沙有里が反応した。



「良かった、血は止まったみたいね」

養護教諭の坂上が、まゆなのガーゼを取る。傷口は痛々しいが、出血は止まっている。

「毎日自分で消毒して、なるべくこっちの手は濡らさないようにね」

まゆなの傷口を、手早くまたガーゼと包帯で覆う坂上。

「はい。ありがとうございました」

病院に行く程の大事にならずに済んで、まゆなはホッと胸を撫で下ろした。

「良かったな、まゆ」

高臣が、まゆなの頭をポンポンと叩くと

「はいッ」

まゆなは嬉しそうに笑った。

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