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生意気少女に制裁を
第2章 秘密の命令
根元はピクリと眉根を動かす。まさかここまでやってなお莉央が強気な態度をとるとは思ってもみなかったのだ。


「笠井さん…あんた、自分の立場分かってんの?」

「立場?ふん、そんなの私が一番偉いに決まってるでしょ」


莉央は至って普通に自分の思った通りのことを話しているだけだった。いつも皆を従わせている莉央にとって、自分以外が一番上に立つことなど考える必要などないほどのことなのである。


「随分生意気ね、さっき自分が何されたか忘れたの?」

「そんなの忘れた。あんなのは私じゃない…分かったらさっさとこれ解いて。早く!」


莉央が腹立たしそうにそう言い放ったのを聞いて、根元は最早感心してしまっていた。先程あのような目にあっておきながらも、なお強気な態度を取れるのはこの世で笠井莉央たった一人だけなのではないかとさえ思った。


「随分威勢がいいのね。わかった、解いてあげる」

「…最初からそうしなさいよ、クズ」

「あーあ、あんたがそんな態度ばっかりとるからこっちも対抗しなきゃいけなくなったじゃない。あんたは明日、また地獄を見るのよ」


莉央には根元の言葉の意味がわからず、解かれた腕についたスズランテープの跡を気にしているばかりだった。


「あんた明日、ノーパンで学校に来なさい」

「は?何言ってんの、根元のくせに」

「これは私とあんた二人の秘密の命令…逆らったらすぐにあんたの恥ずかしい写真と動画を学校中にばらまいてあげる」


先程の失禁写真を抑えてしまえば、父親のスキャンダルをわざわざ引き合いに出す必要もなくなる。 莉央が限界になったときにまた父親の写真を見せつけてやればいい。


「なんで私がそんなこと…」

「逆らうのは自由よ?」

「…言うこと聞いたら、全部消してくれるわけ?」

「さっきだって消してあげたでしょ?私の事疑うの?」


正直莉央は根元のことを心から信じることなど出来なかった。自分に敵対してきた人間など、そもそも莉央の中では信頼する価値など無いのだ。けれどここで従わない訳にもいかなかった。


「分かった…別にバレなきゃいいし」

「物分りがいいじゃない。じゃ、また明日ね。しっかり掃除して帰りなさいよ」


根元は莉央の目の前に水の入ったバケツと雑巾を置くと、自分の荷物を手に取って颯爽と教室から出ていってしまった。
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