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生意気少女に制裁を
第1章 始まり
「な…何言ってんのアイツ!」

「そんなわけないし、ねぇ、莉央…」

莉央は取り巻きの声を無視して仏頂面で立ち上がる。この状況は莉央にとって面白くなかった。今まで自分の思い通りにならない人間などいなかったのに、この根元という女だけは違う。それが非常に気に食わなかった。
莉央は歩いている根元に、わざとらしく足を引っ掛けた。根元は突然のことに驚き、派手に教室の後ろで転んでしまう。全クラスメイトの視線がそこへ集中した。

「あ、ごめ〜ん。脚が長くて…」

「……」

莉央は無言で立ち上がろうとする根元を見下しながら、根元のスカートの裾を足先で持ち上げるようにして、思い切りスカートを上へ蹴りあげた。
半ば寝転がったような状態の根元は、気づく間もなくスカートが腰の辺りまでめくれ上がる。根元は恥ずかしさと怒りで顔を赤く染め、莉央を睨みつけながら素早く立ち上がった。

「ホントにごめんねー?でも、どうせならもっと可愛いパンツ履いてくればよかったねぇ、根元さん」

「……絶対に許さないから」

根元のその声は、莉央を含め他の誰にも聞こえていなかった。
教室中が静まり返る中、莉央の小さな笑い声が響く。
この一件に、クラスメイトは皆動揺していた。元凶の根元を疎ましく思う人間が多いかと思われたが、そうはならなかった。実際は皆莉央の横暴さに冷や冷やしながら機嫌を伺わなければならない日常に疲弊していたのだ。むしろ、清々したと思っている人間の方が多かったかもしれない。それに、今まで理不尽な言動はあっても今回のように直接的なイジメじみたことはしなかった。今回の莉央の行動は、クラスメイト皆が内心引いてしまっていたのだ。

放課後、今朝の一件の気分転換にと取り巻きにカラオケに誘われていた莉央は待ち合わせ場所の裏門に向かっていた。ところが途中で取り巻きのひとりが別の場所からかけてくる。

「ねえ莉央、ちょっとこっち来て!」

「なに?カラオケ行くんじゃないの?そっち別棟じゃん」

「面白いもの見れるよ!根元がさぁ…」

莉央はその名前を聞いて口角を上げる。
これから自分の身にどんな事が起こるかも知らずに、別棟へと歩き出した。
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