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生意気少女に制裁を
第1章 始まり
特別棟の教室は放課後文化部の活動場所として使われており、外とは違ってやけに静かだった。莉央が取り巻きに連れられて向かった先は4階の隅にある教室で、他の階より一層静かである。

「ここだよ、入って」

そう言われて莉央が中に入ると、そこには複数人の取り巻きの女子生徒と根元がいた。莉央はわざわざ人気のないこの教室に根元を連れてきた理由を理解した気になって、ここで今朝の鬱憤を晴らせると思い心を弾ませた。

「なるほどねぇ。あんなことしたんだもん、制裁が必要だよねぇ?」

莉央が笑いながら取り巻きを見渡すと、皆可笑しそうにクスクスと笑い始めた。莉央はてっきり皆自分と同じ理由で笑っているのかと思っていたが、何か違和感を覚えた。そして、何故か根元までもが笑い始めたのだ。

「はぁ?あんた何笑ってんの?これからどうなるかわかってる訳?」

「分かってないのはあなたでしょ、笠井莉央さん?」

「意味わかんない!むかつく…皆、こいつのことどうする__」

莉央がそう言いかけた瞬間、味方であったはずの取り巻きの二人が莉央の腕を後ろからがっしりと掴んだ。
莉央は突然のことに理解が追いつかず、咄嗟に抵抗をするが更にもう一人の力が加わって完全に身動きが取れない状態になった。

「ちょっと!何してんの?!こんなことしてどうなるかわかってるの?!」

取り巻きは莉央に凄まれて一瞬怯んだが、それでも莉央から離れなかった。状況の飲み込めない莉央が根元に視線をやると、根元は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

「さっき、あなたの周りの子皆にメールしたんだ。笠井さんに復讐したい人はここに来てって」

「なにそれ、復讐?なんで私が!」

「言ったじゃん、結局皆あんたが嫌いだったんだよ」

根元は先程までの落ち着いた口調を崩し、莉央の呆然とした顔を見つめながらまた笑った。
莉央は自覚がなかったため、本当になぜ自分が嫌われているのか、いつも言う通りにしてくれた取り巻きが自分を裏切ったのかがわからなかった。

「ね、ねぇ…考え直しなよ皆。こいつに従うより私の言う通りにした方がいいに決まってるでしょ?!こんなこと続けたらただじゃおかないから!」

取り巻きは誰一人としてその言葉に応じなかった。

「__制裁を下されるのは、笠井さん、あんたの方よ」
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