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泥に咲く蓮
第2章 蕾、色づき
「…ん…」
夕飯と入浴を済ませ、今夜も梨花はベッドの中でひとり、甘い吐息を漏らしていた。
初めてオナニーを覚えたあの夜から、静かに眠った日はなかった。

「あん…んっ」

ブラもショーツも着けず、仰向けの状態でキャミソールタイプのワンピースをたくしあげ、両手で左右の乳房をまさぐる。

(おっぱい…乳首が敏感になってチリチリする…)

右手をそっと下半身へ這わし、すでにトロトロと熱く滴っている分泌液を中指で掬う。
十分に指を湿らせてから、プクッと膨らんでいるクリトリスを直に撫でる。

「あっ…ああっ」

クリトリスを撫でると同時に、左手は右側の乳首をキュッと摘まんだ。
快感が電気のように背骨を伝う。

乳房の大きさと比べて乳輪ごと小ぶりな梨花の乳首はコリコリと勃起し、震えた。
皮がめくれあがった陰核が、撫でるたびに快感を蓄積していく。
ヌルヌルとたっぷりの分泌液で指を滑らせ、的確に核心部をとらえる。

「あっ、あん、…あっあっあっ」

夢中で中指を動かしながら、靄がかかった脳裏に、本屋でみたあの女性雑誌のグラビアが浮かんだ。
男性モデルの顔が亮二と重なり、そして

「…っああああ…!」

梨花の身体がバウンドし、ガクガクと痙攣した。
力が抜けた後もなお、じんわりとした快感を全身でゆっくりと味わう。

(わたし…どんどんいやらしくなっていってる…)


夜がくる度に梨花の感度は激しく増し、抑えられなくなっている。
肩で息をついて、はだけたワンピースを直し、目を閉じた。
シャワーで汗も流さず、そのまま朝まで眠ってしまった。


翌朝慌ててシャワーを浴び、遅刻ギリギリで教室にすべりこむ。
すると、
「三崎!おはよー」
と、シバの声がした。

ざわっ…と教室中が沸き、静まり返る。
ヒソヒソと小声で話す声と痛いほどの視線が降り注がれる中、シバは窓際隣、最後席にいた。

「おはよう」
「珍しいじゃん、こんなギリギリにくんの」
「ちょっと寝過ごしちゃったのよ」

席に着くなり一限目の用意を始めた梨花に、シバはなおも右隣後席から話しかける。

「昨日バタバタで駅で別れたじゃん?もしかして三崎の気を悪くさせちゃったんじゃないかって思ってた」
「そんな事ないわ」
「マジで?よかったー」

(この人、今この空気、読めてるのかしら?)

「ねぇ…シ」

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