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泥に咲く蓮
第2章 蕾、色づき
バくん、と振り向いた瞬間、始業のチャイムが鳴った。


「…であるからして、この時Bは…」
一限目は吉田先生の授業だった。
教壇に立っているのが厳めしい教師ではなく、優しい担任教師の時間だからか、何度となくクラスメイトの視線を感じる時がある。

梨花が顔をあげると、教壇前の並び、前から二番目に座っている眼鏡の女子としっかり目があった。
相手は露骨に焦った顔をして黒板へ向き直る。
以前ハズキと声をかけてきた、モチヅキだ。

あまりいい気持ちはしないので、仕方なく梨花はグラウンドに視線を落とした。


『シバとミサキが喋っていた』

昼休みになると、噂は他のクラスにも渡っているようだった。

(ここまで注目すること?…普段話さない者同士が朝の挨拶をしただけじゃない)

誰もいない屋上で、キヨスクで買ったサンドイッチを食べながら梨花は眉間に皺を寄せていた。

屋上はぐるりとフェンスが張り巡らされ、大きな給水タンクがある。給水タンク側との間にもフェンスが立てられているが、登って越えられない高さではない。
階が違う校舎が隣接しているので死角になっており、少しなら雨避けになる屋根っぽいものもある。
ここは学校で梨花が見つけたお気に入りの場所であった。

「三崎、みーっけ」

不意に名前を呼ばれて、サンドイッチを吹き出しそうになった。
声の方向をみると、シバがフェンスをひょいっと登り、飛び越えてくる。

「へぇ、こんな良いとこあったんだなー」
「知られたくなかったわ…」
「そんなケチ臭いこと言うなよー」
少し距離を置いて、隣に座った。

「ねぇ、シバくん。ひとつききたいんだけど」
「なんだ?」
「どうして急に友達だなんて言い出したの?」
「言ったじゃん、三崎の事前から知ってたって」
シバは長い両足を投げ出して、後ろ手をついて寛いでいる。

「スゲーよな。おはよって声かけただけなのに皆びっくりしてんの」
「確信犯でしょう」
「そうだよ」シバはあっさり認めた。
「だってさ、あんたホント目立つんだって」
「目立ってるのはわたしじゃない、あなたよ」
梨花は苦笑して、食べ終わったサンドイッチの包み紙を小さく畳んだ。
「シバくん、日本人離れしてるよね。
タレントさんみたいだもん」
「じいちゃんがドイツ人だよ」
「そうなんだ」
「こいういうのなんか良いじゃん、もっと聞いてよ」





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