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泥に咲く蓮
第2章 蕾、色づき
「…リカちゃん、やっぱり今日、なんか変だぞ…。
体調でも悪いのか?」
さすがに亮二が異変に気づいたのか、心配そうな声色になった。

「だ、大丈夫!大丈夫だから!」
慌てて梨花が取り繕う。
「本当に何でもないの…ほら、あれ…、なんていうか…その…」

「……あ、ああ、すまない」
ところが、なぜか亮二はそれで腑に落ちたようだった。

「言いづらいだろう。我慢しないで鎮痛薬飲むんだぞ」

「……。
うん…」

また明日、と電話を切った後、途方もない後悔と懺悔が押し寄せてきた。

完全に軽率だった。衝動が抑えられなかった。
亮二と、どんな顔をして会えばいいのかわからない。

風呂からあがりベッドに入った後も、梨花は夜が白むまで眠れなかった。
自分がこんなに、救いようがないほどの淫乱だなんて思ってもみなかった…。



「よう、三崎。おはよ」
意外なことに、シバに今朝も教室で声をかけられた。
「…おはよう」

結局昨日の昼休みの後、シバは教室に戻ってこなかった。
あの時、梨花ははっきりと男友達はいらないと言った。
もう言葉を交わす事もないだろうな、と思っていたがそういうわけではないらしい。

一限目の用意をしていると、机の視界の端に人の気配がした。
顔をあげるとシバが梨花を見下ろしている。

「あのさ、昨日の昼からのノート、全部貸してくんない?」
「はい?」

さすがに驚いた。
聞き耳をたてていたらしい近くにいた数名がこちらを振り返る。

「頼む。お礼はちゃんとするから」
両手を合わせて拝むポーズをしている。
なぜわたしが、と言いかけたが仕方がない。

「…お礼はいい。今日も授業がある教科ばっかりだから、その後で」
「おー、助かる。礼は返すからな」
ニカッ、と笑って、シバは自分の席へ戻って行った。
飄々として思考が読めない。ちょっと苦手なタイプかもしれない。

しかしあんなふうに、シバのように笑顔が武器になる人間はそういないだろう。なんだか毒気を抜かれるのだ。

やりとりを見ていた野次馬の視線や、ヒソヒソと小声で話す人達を避けるように、右手で頬杖をついて窓の外に顔を傾けた。
曇り空はまるで梨花の心の中みたいだ。

今日も一日、グラウンドと空模様ウォッチングが捗りそうだな、と思った。






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