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泥に咲く蓮
第2章 蕾、色づき
「…なんだと?」
ピクッ、と謙太郎の表情がこわばった。

「ほう…」
正晴もさすがににやけ顔ではなくなった。

「お前さん、自分で何を言ってるのかわかってるのかね?」
「翔子さんと、予てより相談していました。僕がリカさんの保護者になります。
然るべきところは通しています。これを」

亮二は大きな封筒に入った書類を机に置いた。
二組の夫婦は眉をひそめて書類を確認する。

「リカちゃん、翔子さんから手紙があるんだ」
亮二から一通の封筒を手渡された。
紛れもなく母の字で、病に気付いた時の事、親族に会った時の事、梨花を残して逝く心細さと謝罪がたくさん綴られていた。

堰を切ったように梨花は手紙を抱き締めて泣いた。

明美は汚物を見るような顔で「鳥居さんとおっしゃったわね。あなた、ロリコンとかいうのではないでしょうね?」と宣った。

「違います」
亮二が言うと同時に、
「それ以上続けるなら鳥居さんへの侮辱罪として訴えますよ」
佳奈が迫力のある声で遮った。

「この先も私が出来うる限り、サポートします。鳥居さんが保護者なら、なおのこと協力します」

「ふん、どうせお前さん達も結局この子のカネや保険金が目当てなんだろう」
正晴が醜く顔をしかめていた。
書類の中にどんな事が記されていたというのだろうか。

「それは伯父様の本音ですか?」
亮二はじっと正晴を見つめた。
「僕は若輩者ですが、あいにく金に困った生活はしていません」

正晴の顔が一瞬で鬼のように赤く、険しくなった。
「おい!帰るぞ!」
大きな声を張り上げながら、控え室を出ていく。
「待ってください、あなた」
すかさず俊子が正晴の上着や持ち物をまとめて追いかけた。

「…おい、お前」
謙太郎が泣きじゃくる梨花に、不意に声をかけた。
「うちの家庭状況はさっき明美が言った通りだ。でも、この男が嫌ならうちにきてもいいぞ」
「なんですって?」
明美が顔面蒼白になった。
「そんな事、絶対に許しませんからね!」
「…」
謙太郎は上着のポケットから名刺を取り出して、机に置いた。
「また連絡してこい。…今日はこれで失礼する」

結局骨上げもせず、親族達は引き払ってしまった。

おそるおそる梨花が顔をあげると、

「…はじめまして。
俺と家族になってくれますか?」
そう言って、亮二がハンカチをそっと手渡してくれた。










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