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泥に咲く蓮
第3章 色づき、膨らみ
「やめて、そんなこと言わないで」

思わず亮二のカーディガンの左腕を、ぎゅっと掴んだ。
訴えかける梨花に、亮二は驚いた表情で見つめる。

「そんなこと言わないで…
リョウくんが居てくれたから、わたし…」

「…リカちゃん…」

「あらあら、やはり三者面談って大事ね」
吉田先生がにっこり笑って、机の上で手を組んだ。
「親子でも進路の悩みは尽きないものです。
あまり深く考えない生徒も、親御さんだってたくさんいます。
でも三崎さんは違う、保護者さんも。
ゆっくり一緒に考えて行きましょう、焦らなくて大丈夫です」

「はい」
返事をして、ハッと亮二の腕を掴んでいるのに気がついた。
「ごめんなさい」
手を放し、顔がかあっと赤くなる。

「…ふふふ、三崎さん。
芝くんてとっても素敵だけど、保護者さんがこんなに素敵だと知ったら、少し複雑かもしれないわね」

「…なぜシバくんが…?」

「…あら?二人が一緒に登下校してる所をご覧になったって田中先生が…
芝くんにも今日面談でお話を聞いて、てっきり交際してるのかと」

突拍子のなさに言葉が出てこない。

「違います!」
梨花は思わず大きな声を出してしまった。


面談が終わって二時間後、何度目だろうか。

「そうか。もう、彼氏がいたんだなぁ」
ニコニコと亮二が笑いながら独り言のように頷いている。

「だから、違うって言ってるでしょう!」
その度に梨花が否定する。
つい、ムキになってしまう。

「そんなに照れなくてもいいじゃないか」
「違うんだってば…」
夕飯を一緒に摂るため、梨花は着替えに帰ってから亮二と買い物に出かけていた。

「もう、あんまりしつこいとリョウくんのごはんは缶詰めにしますからね」
「ごめんなさい」慌てて謝る。

「今日は何が食べたいですか」
「リカちゃんの料理、何でも美味いからなあ…」

スーパーで食材を流し見しながら、亮二は思案顔だ。
梨花は大きくため息をついた。

あの日たまたま、シバと本屋から駅まで歩いただけでこんな事態になるとは思ってもみなかった。
共学校なのだから、男女生徒が一緒に帰る風景なんて特に珍しくもないだろう。
なのに…

(何でわたしとシバくんが付き合ってる事になってるの?)

タイミングも悪かった。
よりにもよって一番知られたくない人に知られてしまった。
ひたすら最悪の状況である。




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