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泥に咲く蓮
第3章 色づき、膨らみ

体が離れると、亮二は抱き締めた時に乱れた梨花の髪を直した。
指で梨花の頬の涙を拭うと、そのまままっすぐに梨花を見つめる。
「リカちゃんの気持ちはわかった。
君はまだ、やりたい事が見つかっていないと言ったね」
「…」
黙って頷く。
「吉田先生はまだ、考える時間があるって仰有ってた。
君がちゃんと見つけられるように、これからは俺も佳奈さんに負けないくらいサポートしたい」
亮二は方膝を付いたまま見上げ、梨花は椅子に座って見下ろす形でかなりの至近距離だ。
梨花の鼓動が早くなる。
「選択次第で、君はいずれこの街を離れる事になるかもしれない。
そうでなくても、もし寮生活や独り暮らしがしてみたいというなら、それもかまわない。
応援するよ」
「…」
「でもその選択が俺のためだとかいう理由なら、ここから出ていくなんて許さない」
亮二の貫くような視線から目が逸らせない。
「俺は縛られてるんじゃない、逆だよ。
翔子さんにも、リカちゃんにもその存在に助けられてるんだ」
亮二の目は真剣だ。
「だから、もう余計な事は考えないでほしい。
自分の事だけ考えるんだ、いいかい?」
「…うん。わかった」
梨花が頷くと、亮二はにっこり微笑んで立ち上がった。
「わかってくれたらよかった。
ごはん、いただくよ。
後のコーヒーは俺が淹れる」
(心臓がもたないよ…)
梨花はドキドキする胸を抑えようと、テーブルの麦茶のグラスを一気にあけた。
指で梨花の頬の涙を拭うと、そのまままっすぐに梨花を見つめる。
「リカちゃんの気持ちはわかった。
君はまだ、やりたい事が見つかっていないと言ったね」
「…」
黙って頷く。
「吉田先生はまだ、考える時間があるって仰有ってた。
君がちゃんと見つけられるように、これからは俺も佳奈さんに負けないくらいサポートしたい」
亮二は方膝を付いたまま見上げ、梨花は椅子に座って見下ろす形でかなりの至近距離だ。
梨花の鼓動が早くなる。
「選択次第で、君はいずれこの街を離れる事になるかもしれない。
そうでなくても、もし寮生活や独り暮らしがしてみたいというなら、それもかまわない。
応援するよ」
「…」
「でもその選択が俺のためだとかいう理由なら、ここから出ていくなんて許さない」
亮二の貫くような視線から目が逸らせない。
「俺は縛られてるんじゃない、逆だよ。
翔子さんにも、リカちゃんにもその存在に助けられてるんだ」
亮二の目は真剣だ。
「だから、もう余計な事は考えないでほしい。
自分の事だけ考えるんだ、いいかい?」
「…うん。わかった」
梨花が頷くと、亮二はにっこり微笑んで立ち上がった。
「わかってくれたらよかった。
ごはん、いただくよ。
後のコーヒーは俺が淹れる」
(心臓がもたないよ…)
梨花はドキドキする胸を抑えようと、テーブルの麦茶のグラスを一気にあけた。

