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泥に咲く蓮
第4章 膨らみ、開花
あっという間に期末テストも終わり、夏休みに入った。

翔子がいなくなってからの長期休暇中は概ね渡辺佳奈が世話をやいてくれていた。
母と同い年の彼女には二人の娘がいて、現在中学二年生の長女、小学校四年生の次女がいる。
夫とは次女が産まれてからすぐに離婚したらしい。
シングルマザー同士というのもあり、梨花が小学生の頃から、家族ぐるみで付き合いをしていた。

土曜日の夜、食事を済ませ、後片付けをしている最中に佳奈から電話がかかってきた。

「リカちゃん、夏休みが始まったわね。
早くうちにいらっしゃい、愛美も優香も首を長くして待ってるわ」
「佳奈さん、いつもありがとうございます。その事なんですけど…」

梨花は丁寧に、今年は下宿はしない旨を伝えた。

「でもわたしでよかったらぜひ、日中に愛美ちゃんや優香ちゃんの家庭教師をさせてください」
「どんどん来てちょうだい。うちはいつでもウェルカムだからね」
電話の向こうでは佳奈のトーンで事情を察したのか、子供達の落胆した声が聞こえる。

「えー!リカお姉ちゃんこないのー?」
次女の優香だ。
「ごめんね、行くよ!ずっとのお泊まりはできないんだけど、一緒にお勉強しようね」
「ほんと?やったぁ」
天真爛漫で、梨花によく懐いてくれている。

「お姉ちゃん、色んな話しようね。ママには話せない事いっぱいあってさぁ」
長女の愛美が、電話口でボソボソと言う。
「うんうん、何でも聞くからね」
愛美も姉のように梨花を慕ってくれているようだ。

早速約束をして、電話を切った。
少し心苦しいが、自分を必要としてくれている事が嬉しく、ありがたい。

リビングから部屋へ戻ろうとした時に、また携帯が鳴った。
亮二だった。

「…リカちゃん」
「どうしたの、リョウくん!」

その声は掠れて、苦しそうだった。
驚いて取り乱してしまった。

「いや…ちょっと風邪ひいたみたいでさ…
たいした事はないんだけど…何回電話してもマネージャーが捕まらなくて」
「絶対にその声、たいしたことあるでしょっ」
「…ははは、こんな時に限って薬のストックがなくて、…申し訳ないんだけど…」
「すぐ行く!待ってて」

こんなに弱った亮二の声を聞いたのは初めてだった。

逸る気持ちを抑えながら、支度を済ませて梨花はアトリエに向かった。









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