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泥に咲く蓮
第4章 膨らみ、開花
亮二のアトリエは住宅街の中にある一軒家だ。
普段亮二は海外に行っている事も多い。
思うよりアトリエにいる時間はあまりないのかもしれない。
薬のストックが無かったのもそのせいだろう。

アトリエはマンションからは歩いて十分ほどで、スーパーマーケットが近い。
梨花は経口補水液とスポーツドリンクを数本買った。

二階建てのこぢんまりとしたその家に、合鍵で入る。
絵の具のものだろうか、濃く油っぽい匂いがする。
明かりは付いていない。

「…リョウくん、入るね」
返事はなかったが明かりを付けて、奥へと進む。
一階はだだっ広く吹き抜けになっていて、資料の数々、キャンバスやイーゼルなど、画材道具がたくさん置かれている。

螺旋状になっている階段を登り、二階が生活スペースになっている。
吹き抜けの上も間仕切りはほとんどなく、やはりだだっ広い印象だ。
こちらも明かりが付いていなかった。
大きなクローゼットになっている部分がダークウッド調の板張りになっており、フロアにはテレビやソファが置かれている。
一番奥のサイドテーブルの横に大きめのシングルベッドがあり、亮二はそこで眠っていた。
ルームライトのぼんやりした明かりが亮二の辛そうな表情を浮かび上がらせている。

そっと近づいて跪き、額に触れた。
驚くほど熱い。
そして、しっとりと汗をかいていた。

「リョウくん、…リョウくん」

静かに呼んでみる。
「…リョウくん」
そっと肩に触れ、静かに揺すった。

「…ん」
気がついたようだ。

「…大丈夫?とりあえず飲み物摂ろう」
「…リカちゃん。すまない」

経口補水液のキャップを開けて、持ってきたマグカップに注いで渡す。
亮二がゆっくり起きあがって受け取り、飲んだ。

「…本当にすまない」
「謝っちゃだめ、誰だって疲れたら体調を崩すわ。
今までこんな事が無かったのが不思議なくらいなんだから」
「…ありがとう」
経口補水液を一本空けて、亮二は壁にもたれ掛かっている。

「今までは風邪ひきっていっても多少咳が出たり、くしゃみが出たりとかそんなものだったんだ」
「…そうなの…」
「俺、体力だけは自信あるんだけど…」
薄明かりの元で、亮二は力なく微笑んだ。

「食欲はある?何か消化にいいものでも作るよ」
「…今はいい、ありがとう」
「着替えましょう。汗で体が冷えちゃう」

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