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泥に咲く蓮
第2章 蕾、色づき
「ここテストに出るからなー」
教師がそう言い終わると共に、授業終了のチャイムが鳴った。

ふぁ…ぁ、と欠伸をかみ殺し、誤魔化すように背筋を伸ばす。
相変わらず、午後の授業は眠い。
昼食にサンドイッチを持って来ていたのだが、作り過ぎてしまった。

「あ、三崎。HR後、吉田先生が職員室に来るように言ってたぞー」
教材を片付けながら思い出した、という風に教師がこちらを向いた。

今朝提出した、面談予定の事だろうか。

「わかりました」
「じゃあ、伝えたからなー」
両手に教材を抱えて、大きな腹の男性教師はさっさと教室を出ていった。

吉田先生は、梨花の担任だ。
年齢は四十代半ばほどだろうか、おっとりした印象の女性で、何でも話しやすい。

職員室を覗きこむと吉田先生が「こっちへどうぞ」と手招きした。
「失礼します」
そのまま、奥の生活指導室へ通される。

「呼び出してごめんなさいね、話は今度の三者面談のことよ」

やはりか。
促されるまま、梨花は吉田先生と向かい合わせに座った。
どう切り出そうかと思案顔の先生をみて、自分から口火をきった。

「吉田先生と面談、初めてですよね。わたし一、二年は田中先生のクラスだったから」
田中先生は教師中、一番古株の男性教師だ。
要点だけしか話さないような口数の少なさで、非常に淡々としている。

「ええ、それでその…面談中、保護者さんとどんな感じだったのかと」
「特に何も、他の人達と変わらないと思います。田中先生、話し込むタイプじゃないし」
「そうなのよね…。どんな生徒にも分け隔てがないのは素晴らしいかもしれないけど」

吉田先生の言いたいことが何となくわかった。

「うちは家庭内事情は複雑ですけど、いつも何も問題ありませんねで終わりでしたよ」

事実、梨花は問題児ではない。
成績だって悪くない。どちらかと言えば模範的な生徒かもしれない。

「そうね…。少し気になったものだから訊くけど、保護者さんは男性だったわね。
おうちで何か困った事はない?
男性だと言いにくい事もあるでしょうし…」

「ありがとうございます、大丈夫です」
梨花は笑って答えた。
「もし何かあっても吉田先生になら話しやすいです」
「よかったわ。何でも言ってね」
担任はほっとしたように、いつもの表情に戻った。

「面談は来週木曜日、十六時からだったわね。忘れずにね」

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