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新・性生活
第26章 舞子と翼、遠くに連れて行って。
歩きながら私が坂道で遅れると翼が誘ってくれた。

「鍛えないとなんで乗って下さい。この坂道でまいこさんをおぶって上がりたかったんです」

はじめは、恥ずかしいからいいよ。って言ってたけど結局甘えて翼の背中で少しだけだったけど翼の汗を感じた。絡めた私の腕と支える翼の腕で私の体を一歩づつ坂道を登っていく。

着きましたの合図で、ありがとう。って言ってる横で部活してる人たちが坂をかけ上がってる。

「着きました。ここが僕の住んでた町です」

そう、そうだったんだ。だからか。遠く。って違う意味でも一番遠い所にきたんだね。行くことはないと思ってだけど来たんだ。来てはいけない場所だと思ってた。

町と海、まだ木々の緑は薄くて桜かな、薄い緑の中にやけに目立って見える薄い赤色。静かで涼しくて、光がキレイでなんだか現実が遠くに見えて、忘れさせてくれる。久しぶりだな。こんな所にきたの、ホントに遠くに来たんだね。

「まいこさんに見てほしかった。もっと僕のことを知ってほしかった。実家で一番、好きな場所です。」

無邪気に言ってくれるその声にまだ甘えたりないから、ありがとう。って手を取ると握ってくれる。翼ね、私がどれだけ翼の事を知っても、私は翼の側にはいられない。でもね、お願い、翼の時間を少しだけ私に分けて欲しい。嬉しかった、知って欲しい。って言ってくれたこと。はしゃいでごめんなさい。



翼の住んでた町を散策する。お饅頭食べたり、神社でお守り買ったり、靴を運動靴に買いかえたり、でも楽しかった時間が不味い時間だったのかな。少し落ち込む時間に変わった。

「翼?」

女の人の声に振り返った。
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