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体育倉庫のハイエナ
第39章 39
 マモルが射精すると、奈津子は先程と同じ行動に出た――つまりは体育倉庫から逃げ出そうとした。

 乱れきった呼吸はそのままに、何とかマットの上で四つん這いになって、重い体を引きずるように、体育倉庫の引き戸に向かった。

 しかし先程とは違って、今度は無事にマットから下りて、引き戸まで辿り着くことに成功した。

 重い引き戸を、奈津子は渾身の力を込めて開ける。

 然るに四つん這いのまま、すっかり闇の底に沈んだグラウンドへと、出て行った。

 その間、四人はニタニタ笑いながら、逃げ出そうとする奈津子を眺めているだけだった。

 勿論のこと、四人はまだ奈津子を逃がすつもりはない。

 しばし眺めているのは、今は焦らなくてもやがては奈津子を捕まえる自信が、四人にあるからだ。

 さらに言えば四人は奈津子を“泳がせて”――奈津子に徒労に終わる努力をさせて、面白がっているのだ。

     ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 

 やがて、頃合を見計らったレンヤが、おもむろにマットから腰を上げた。

 余裕ある足取りで、奈津子が開けっ放しにしていた引き戸から、グラウンドへと出て行った。

 それからしばらくは、沈黙が流れた――その後のことだった。

「ぬッほおおおおおッッ!!」

 グラウンドから、奈津子の件の滑稽な嬌声が聞こえてきて、途端三人はゲラゲラと笑った。

 レンヤがめでたく奈津子を捕まえて、どうやらその場でペニスを、奈津子の秘部に突き刺したらしい。
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