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BeLoved.
第20章 【彼女がその日の彼。2】
「……………え。マジで…?」
硬直と沈黙の後。流星さまはまるで糸が切れたようにわたしの上に倒れ込んだ。首元に顔を埋めて。
「!お…重い……」
彼の体重が全身にもろにかかり苦しい。半濡れなのに硬いその髪の毛が頬に当たりくすぐったい。逃れようと身をよじろうにも動けない。
…どうしよう。
「流星さ…まー…?」
呼び掛けにも返事がない。まさかこのまま眠ってしまわないよね?それはさすがに厳しいです…。頼みの綱の麗さまは来週までお仕事で帰らないし、そもそも携帯は台所に置いてきてしまった。
「……あのさ、未結」
「!あ…はい…」
八方塞がりな状況。何とか打開策はないかと考えあぐねていたところ、彼の方から動きがあった。
「……付き合って」
それは迷いと躊躇いが滲んだ声。最後に彼は言った。「今、ちょっとつらい」と。それはわたしが初めて耳にした『弱音』だった。
─────────
「ふあっ……あ、んっ…」
ちゅく… ちゅく…と、小さい音を立てながら何度も吸われる胸の突起。その度に切ないものが込み上げて、甘い声が漏れてしまう。
「…未結、さわって」
取られた右手は彼自身へと導かれた。そこには、昂って、脈打って…雌を欲して止まない雄そのものの塊があった。目の当たりにしただけで、わたしの内側が疼いてくるようで…
「…おっきい…、…かたい…」
「…だろ。…そのまま握って」
掌から伝わる脈動。
言われるまま、添えた手に力を込めてみた。
「──痛って!」
ビクッ!と、彼の全身が大きく跳ねた。かと思った直後、空気が抜けたかのように脱力していく。…どうやら強すぎたらしい…
「ごごごごめんなさい……」
「…やさ…、優しく…ね…」
俯いた彼は涙声。肩も震えている。
そ、そんなに痛かったんだ……
申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつも、再び彼自身に触れた。今度はこれ以上ないくらい、そっと。
芯を無くし柔らかくなってしまったそれを掌に収め、ゆっくりと指を畳んで包み込む。
「っ、…そう。…そんくらい…」
…大丈夫みたい。…もう少し力を入れてもいいかな…?様子を伺いながら掌の隙間を小さくしていき、柔らかい力で握り締めた瞬間だった。
「…っあ……」
彼の唇から漏れた、切なげな声。
それはわたしの中の何かに触れた。