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BeLoved.
第25章 【それが彼らだ】
『…今面倒臭せぇ奴がいるんだよ。消してぇ』
『埋めれば?来月K県の山奥に現場開くぜー』
二人とも軽い口調だったから、冗談だと思ってたけど…まさか…まさかね?!
背中に冷たいものが走るのを感じながら、まるで底知れぬ闇を思い起こさせるような流星さまの真っ黒な髪をただ見下ろしている時だった。麗さまが戻ってきた。…一人で。
「未結、お待たせ。ごめんね」
「……おかえりなさ…あ」
その表情からは、行きの時の険しさは消えていた。
それに安堵した矢先、わたしは彼に肩を抱かれ胸元に身を寄せられた。
「消毒させて」
「……?」
髪に落とされた口づけと、小さな呟き。…消毒??
言葉の意味が分からず見上げたけれど、彼の視線はもうわたしの方を向いていなかった。
「麗お前、女どーしたんだよ」
「教えない」
「うーわっ、怖え。なー、未結、な」
麗さまが何をして来たのか。苦笑を浮かべている流星さまにはわかっているみたい。それ以上深く追求されることはなかった。
選んだボトルを買い物カゴに入れ立ち上がった流星さまは、わたしの頭を優しく一撫でした後歩き出した。
「流星あいつアレだよ。イ◯スタ女」
「あー、どーしても自慢したくてお前の寝顔載せて晒したバカ女か!お前アレよく許したよな」
「ボンクラ。許してねぇから別れたんだよ。マジで肖像権の侵害で訴えればよかった」
「それはそれで面倒くせーんだよな」
「それな」
「……」
二、三歩先を歩く流星さまの後ろ姿
わたしと横並びに歩く麗さまの横顔
それぞれ一瞥しながら思う。
『消す』『埋める』云々は置いておいて(考えたくないから)。