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第27章 【カレハミエルヒト。】

「り…流星さま、本当ですかっ?おばあちゃんがいたって…」

流星さまが『視える人』だと言うのは、もはや疑ってはいない。
でも、おばあちゃんが?…にわかには信じられず、まるで問い質すような口調になってしまった。

「居たよ。遺影の後ろに立ってた。独りになった未結のこと、物凄く心配してた」
「……」
「安心して欲しかったし、本来往くべき所へいって欲しかったんだよ。お祖母さんのためにもね。だから俺も麗も約束したの」


─────『大切にします』


あの時彼らは確かにそう言った。
あれは写真にじゃなく、その向こうにいたおばあちゃん本人に告げてくれていたんだ…。


「後はさ…まぁ、気ぃ悪くしねーで欲しいんだけど」

頭を掻きながら流星さまは続ける。彼にしては珍しく、言葉を選んでくれているのが解った。

「その"心配"が度を越すと"執着"になってさ、連れて逝こうとする奴も、なかには居んのよ」
「!」
「お祖母さんがそうとは言わない。ただ表情が結構思い詰めてたのね。…あの頃おまえさ、夢にお祖母さん、よく出てこなかった?」


言葉を失った。
言い当てられたからだ。

当時はおばあちゃんの夢を毎日の様にみていた。おばあちゃんが少し離れた場所から、淋しそうな、心配そうな表情でわたしを見つめている夢。

わたし自身が淋しさからそんな夢をみてしまうんだ、と思っていたんだけど、違った…?
おばあちゃんは亡くなってからもなお、わたしのことを心配して…

「お祖母さん、俺らのこ」
「流星もういい。…信じる信じないは、未結に任せるね」

それまで無言だった麗さまは、流星さまの言葉を遮りわたしの頭に手を乗せた。

「………」

流星さまは嘘をつける人じゃない。
麗さまは体験した事しか信じない。


全部全部本当のことだ。
わたしはそう確信した。
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