この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.
第27章 【カレハミエルヒト。】
「り…流星さま、本当ですかっ?おばあちゃんがいたって…」
流星さまが『視える人』だと言うのは、もはや疑ってはいない。
でも、おばあちゃんが?…にわかには信じられず、まるで問い質すような口調になってしまった。
「居たよ。遺影の後ろに立ってた。独りになった未結のこと、物凄く心配してた」
「……」
「安心して欲しかったし、本来往くべき所へいって欲しかったんだよ。お祖母さんのためにもね。だから俺も麗も約束したの」
─────『大切にします』
あの時彼らは確かにそう言った。
あれは写真にじゃなく、その向こうにいたおばあちゃん本人に告げてくれていたんだ…。
「後はさ…まぁ、気ぃ悪くしねーで欲しいんだけど」
頭を掻きながら流星さまは続ける。彼にしては珍しく、言葉を選んでくれているのが解った。
「その"心配"が度を越すと"執着"になってさ、連れて逝こうとする奴も、なかには居んのよ」
「!」
「お祖母さんがそうとは言わない。ただ表情が結構思い詰めてたのね。…あの頃おまえさ、夢にお祖母さん、よく出てこなかった?」
言葉を失った。
言い当てられたからだ。
当時はおばあちゃんの夢を毎日の様にみていた。おばあちゃんが少し離れた場所から、淋しそうな、心配そうな表情でわたしを見つめている夢。
わたし自身が淋しさからそんな夢をみてしまうんだ、と思っていたんだけど、違った…?
おばあちゃんは亡くなってからもなお、わたしのことを心配して…
「お祖母さん、俺らのこ」
「流星もういい。…信じる信じないは、未結に任せるね」
それまで無言だった麗さまは、流星さまの言葉を遮りわたしの頭に手を乗せた。
「………」
流星さまは嘘をつける人じゃない。
麗さまは体験した事しか信じない。
全部全部本当のことだ。
わたしはそう確信した。