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BeLoved.
第27章 【カレハミエルヒト。】
「ちょっと寄らせて」
走り続けた先に見えてきたのは、コンビニの眩しい明かり。駐車場に入り込んだ車は、入口から少し離れたスペースに頭入れで停車する。
アイドリング状態のまま「待っててね」と短く言い残して麗さまがドアを開けた直後。
「オイ麗煙草買ってきてー。メンソ。黒な」
ひょいっ、と、流星さまがわたしの横から顔を出してそう言った。麗さまからは「テメーで行け」てっきりそんな返事がくるものだと思っていたけど…
「…わかった。未結見てろよ」
「えっ!」
予想外の素直な反応。つい驚きの声を出してしまった。構うことなく静かにドアは閉められ、麗さまの姿は店内に消えた。流星さまと二人になった車内。彼の方を向き問いかけた。
「…麗さま何か変じゃないですか?」
「麗が変じゃない時なんかねーよ?」
のんびりとした口調でのこの返事。
「…もうっ!ふざけないで下さい!」
「バカ、ふざけてねーって。今のだろ?ありゃ単に未結を一人にしたくねーんだよ。本人そー言ってたじゃん。あとは」
「?」
「あのね、未結。俺子供の時からハッキリ幽霊が視えてたの。生きてる人間と区別つかなくて、普通に遊んでたりもしてたのよ」
「え"っ」
突然始まった昔の話。それにしても…内容が怖い。多分、わたしの顔はひきつっていた。
「ほら、そーゆー顔な。よーくされたわ」
「!…ごめんなさい…」
苦笑混じりに言われたけど…傷つけてしまった。ハッとしすぐに謝罪の言葉を口にする。だけど、彼は涼しい顔。
「いーよ。まぁとにかく異端視されんのよ。ま、端から見りゃ一人で喋ってんだし当然だわな。俺といると未結みたいに体感しちゃう奴もいて、怖がられたよ。麗もそれ知ってる」
「…!だから麗さま、自分のせいでわたしが流星さまのこと怖がっちゃうって…」
「そ。"視える"のだけは、俺にはどーにもできねーからね。そこで俺が未結に見限られて、自分んとこに来んのは野郎も嫌なのよ。…俺も麗も、実力でモノにしたいんだから」
未結のことを。と。
嘘偽りない瞳で見つめられ告げられて。
心臓が跳ね上がるのを感じた。