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BeLoved.
第27章 【カレハミエルヒト。】
「未結悪りー。お待たせー」
「…ごめんね、煙草臭くて」
戻ってきた彼らが車に乗り込んだ瞬間、車内はその香りで満たされた。…けど、嫌じゃない。大丈夫です、と笑顔で返した。だってこれは彼らの香りだ。確かに体には悪いけど…安心の方が大きい。だって
「大好きですから!」
そう。だからありのままを告げた。
…?何故か二人はわたしを見つめたまま無言で固まってしまった。どうしたんだろう…
「未結ちゃん。それ、どっちに言ったの?」
「え…?…あ…」
麗さまからの問いで気づく。『大好き』…彼らそのもののことだと思われてしまったようだ。た、確かに誤解されても仕方ないタイミングだった…かも…
「俺に決まってんじゃん。なー未結、な。霊感伝染るくらい通じ合ってるし」
「バーカ。俺だよ。ね、未結」
「え…えーっと、あの…」
自分だと信じて疑わない二人。
こういうところも、実に彼ららしい…。
「俺だっつってんじゃんヘタ麗。なに、耳ねーの?」
「…テメーは今日ほんっっとうるせぇなボンクラ」
「ええっと!か、帰りましょっ!?ねっ?」
一気に戦闘体勢に入ってしまった二人。空気を打破するために無理矢理明るく言い放ち、笑顔を振り撒いた。
わたしの努力(?)が通じてか、殺伐とした空気はなりをひそめたけれど…彼らは小さく息をついた。
「…未結ちゃん。俺も流星も、君に振り回されっぱなしなんだけど」
「それな。幽霊なんかよりよっっぽどこいつの方が怖えーよ。何言い出すかわかんねーんだもん」
「あ、あハハ…っ?! ……」
両側から優しい力で頬を摘ままれ、そうぼやかれる。何はともあれ、状況の悪化は回避できたようだ。心中で安堵の溜息をついた。