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BeLoved.
第30章 【あなたがわたしをこわしたいなら】


「…どこに?」

彼…麗さまは、一瞬だけ交わした視線を足に戻し爪先を啄む。それだけでも凄く気持ちいい。だけど…違う、そうじゃないの…気持ちは逸るのに羞恥心が邪魔をして言葉が出てこない。
彼だって、わかってるはずなのに…

「わからないよ」
「!」

もどかしさが苛立ちに変わりかけた気持ちを見抜き、切り裂くような静かな声。体が跳ねた。

「"未結"のどこに触ればいいの?」
「…あっ…」

ふくらはぎ。柔らかいそこに彼は歯を立てた。弱い力だから痛みはない。
けれど…まるで『言え』と命じているように錯覚してしまう。わたし─"未結"─が触れて欲しいのはどこなのか、と。

「……未結、の…、ここ……」

おずおずと伸ばした右手の行き先はひとつ。
脚と脚の間のあたたかな部分。


「あ…」

指先から伝わる濡れた感触。予想以上だった。
わたしから溢れる蜜はとめどなく、『ここ』をこんなにだらしなくさせていたんだ…

「!っあ」
「ほら。触ったよ」

確かに彼は触れてくれた。
でもそれは指先でなぞっただけ。

「だ…、やだあ…っ、いやあ…っ」

下手に触れられたせいで余計もどかしくなって。耐えきれなくて。頭を左右に振り涙が滲む情けない声で叫んだ。

どうしてこんなことするの…?
どうして、してくれないの…?

そこまで発してしまいそうな口元を両手で押さえ、涙で潤む瞳で彼を見下ろした。

「どうしてほしいの」
「……っ!」

それでも彼は動じない。

ああ…もう、だめ。抑えきれない。


──我慢できない。


「……なめ…て……」

思い知った。わたしは本当に快楽に…
…ううん、違う。
『彼』に堕ちてしまったんだって。
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