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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

「───遅っせーな!」

指折り数えて迎えた当日。
待ち合わせ場所は、二つ先の駅前交差点。
約束の時間は午後7時。…のはずなんだけど、既に15分は過ぎている。

「時間は5分前が礼儀だろ!連絡もねーとかナメてんのかそいつ!おい未結乗れ!帰んぞ!」

流星さまのおかげで6時50分には到着しているわたし。路肩に停められた車を降り、人が行き交う歩道の端に立ち彼女を待っているけれど…一向に来る気配がない。電話も繋がらない。

わたしの三歩ほど後ろでガードレールに腰掛け腕を組み、苛立ちを思いっきり露わにし悪態をついている…待たされるのが大嫌いな彼。

それでもわたしを一人で置いていかないのは、ちゃんと彼女と合流するまで見届けたいから。感謝しています。怖いけど…

「り、流星さま…落ち着いて…」

なだめつつ、嫌な想像が頭を過る。すっぽかし…はありえない。そんな子じゃない。まさか、事故?事件?不安が募ったその時だった。

「…未結?未結!」

声をかけられ振り向く。そこには懐かしい顔。

「紫!」
「ごめーん、遅くなって!」

抑えきれず、名を呼びながら駆け寄り手を取った。彼女は黒井紫(くろい ゆかり)。わたしより10㎝ほど背が高くて、手も足も長いスマートな体型。長く伸ばされた艶やかな黒髪と、猫みたいな瞳が印象的な女の子。

最後に会ったのは去年の夏くらい?約一年ぶりだけど…そのときより綺麗になってる!
でも笑顔は、以前と変わらない彼女のもの。ほっとした。
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