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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

「ごめんねー、寝ちゃって電車乗り過ごしちゃって!携帯もバッテリー切れてさあ」
「もう…心配したよっ!…無事でよかったぁ」

手を握り合い、お互い笑顔を浮かべてはしゃぐ。おっちょこちょいなところも変わってない!何だか嬉しくなった。

「未結ー、じゃー俺帰るわ。後でな」
「!あっ…、ありがとうございました…!」

背後からの声にわたしが振り向いたときには、声の主の姿はもう車内。慌ててガードレールまで駆け寄り、お礼の言葉をかけた。

こちらに向かいひらひらと手を振った彼は、眼鏡をかけるとそのまま車を走らせ去っていった。

紫本人に文句の一つでもぶつけるかと、正直冷や冷やしていたんだけど…杞憂だったようだ。
ほっとした途端、紫に腕を取られ抱き寄せられた。

「ちょっとちょっと未結っ、今の人誰?彼氏?」
「か、かれし?!」

初めて言われた言葉。返答に困ってしまった。
何て言えばいいんだろう…興味津々の彼女を前に思考を巡らせた。流星さまは…そう…

───ご主人さまのひとりだよ。


「え?なに?誤手?」

怪訝な表情を浮かべ、聞き返してくる紫。ハッと我に帰った。…やだ、口に出してたの?!

「ち、違うの!…えっと、あのね…っ」
「えー、違うんだ?おっっきい人だねー!足、超長かったよ?!モデル…て顔じゃないか。でもなーんかどっかで見た覚えあるのよね~…どこだったかな~……まいっか♪」

しどろもどろでいるうちに、自己解決したようだ。マイペースなのも変わらない。そういうところに振り回されることも多かったけど…今は助かった。

「久しぶりに会えたんだしね♪行こ、未結」

そして紫は笑顔を見せてくれた。やっぱり、変わらない笑顔を。

高校の入学式で出会ってから、今年で丸4年。
お互い二十歳になった。だけど紫は変わらない。いつでも紫のまま。昔のままで、わたしに接してくれる。

「うん!」

友達って、ありがたいな。
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