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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

入ったのはチェーンの居酒屋。

おばあちゃんの生前は、こういうお店に会社の人たちとよく来てた(当時は未成年だったからもちろん飲酒は厳禁。おおらかなおばあちゃんだったけど、その辺厳しかった)
ご主人さま達と暮らし始めてからは全く行かないから…何だか懐かしい。

「二人でお酒飲むの初めてだね」
「う…うん」

通された個室に、テーブルを挟み向かい合って座る。紫は生ビールを頼んだけど、わたしはオレンジジュース。「お子ちゃまなんだから~」なんてからかわれたけど…言いつけだもん。仕方ない。

「未結、大変でしょ?家政婦さん業」
「…うん。でも楽しいよ!紫も相変わらず?」
「もーっちろん。事務員二年目!新人も入ってさぁ。あたしもついに先輩よー」

まずは互いに近況報告。紫は着実に社会人としてステップアップしていた。

それに比べてわたしはどう?
確かに家政婦としてお仕事はさせて頂いているけど…こうして出かけることを許してもらい、流星さまには送迎までしてもらい。
今着ているこのワンピースだって、麗さまが今日のために買って下さったもの。甘やかされてるよね…

──────────

笑って語って…少し泣いて。楽しい時間てどうしてあっという間に過ぎちゃうんだろう。気付けばもう、10時を回っていた。
紫も酔いが回り、更にハイになってきてる。もうずっと笑顔だ。


「そーや未結さあ、最近セックスしてるー?」
「!!」

突然のあからさまな問いに、飲んでいた烏龍茶を吹き出してしまった。更にそれが気管に入り、むせて咳込んでしまう。

「あ~もぅほら!大丈夫?」

おしぼりで口元を拭われ、手かかるんだからと苦笑された。誰のせいだと思ってるのよ…

「な、なん、なんでそんな?」

しどろもどろになりつつ問い返す。
新しく注文した柚子サワーを口にしながら、紫はのんびりとした口調で答えた。

「だって未結、すーっごいきれいになったんだもん。そりゃ前から可愛かったけどさ。今、全然違うよ」
「……」
「肌も唇もつやっつや。女!ってかんじ。だから、満たされてるのかなーって」
「…お化粧のせいだよ」

それセクハラだよー、と明るく誤魔かした。
──だって、いくら親友でも…言えないもん。

ほとんど毎晩、その日のご主人さまから
身も心も愛され尽くしているなんて。
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