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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】
3.
「…静かだね。寝た?」
「……寝ちゃいました」
走行中の車内。騒ぐだけ騒いだ紫は今、わたしの肩に頭を乗せて安らかな寝息を立てている。
彼女の自宅は知っているから道には迷わない。…着くまで大体30分程。その間そのままにしておくことにした。
お酒の匂いに混じって、懐かしい香りがする。ふざけあってはしゃいで、くっつきあっていたあの頃のものだ。頬が緩んだ。
とは言え酔っているからと何をしても良いわけじゃない。改めて親友の非礼を詫びた。
「大丈夫だよ。慣れてるから」
こちらに気負わせまいとしているのか、彼からはこの返答。
慣れているから、の訳は…やはり姉の羅々さま絡みだった。昔から飲み会の送迎に幾度となく駆り出されてきた、と。
羅々さまご自身はザルだけど、その泥酔したお友達を介抱したり、絡まれたことは数知れず。だから酔っ払いの言動なんていちいち気にしていない、と教えてくれた。
「人居んのに脱ぎ出す女とかいるからね」
「た…大変でしたね…」
やがて車は紫の自宅、住宅街のなかにある、3階建ての団地風アパートに辿り着いた。
邪魔にならない場所に車は停められる。紫の足を軽く叩き、顔のすぐそばで呼び掛けた。
「紫、起きて!おうち着いたよ!」
「ん~、むり~、うごけな~」
まだ半分眠っている彼女は、わたしにくっついたままぐずった。その言葉通り、自力で歩くのは無理そうだ…。
「…未結、雨降ってきたよ」
その呟きに目をやると、麗さまはフロントガラス越しに空を見上げている。
ぽつぽつと打ち付ける水滴の音が、わたしにも聞こえた。
この状況で雨?なんてタイミングが悪い…
「…静かだね。寝た?」
「……寝ちゃいました」
走行中の車内。騒ぐだけ騒いだ紫は今、わたしの肩に頭を乗せて安らかな寝息を立てている。
彼女の自宅は知っているから道には迷わない。…着くまで大体30分程。その間そのままにしておくことにした。
お酒の匂いに混じって、懐かしい香りがする。ふざけあってはしゃいで、くっつきあっていたあの頃のものだ。頬が緩んだ。
とは言え酔っているからと何をしても良いわけじゃない。改めて親友の非礼を詫びた。
「大丈夫だよ。慣れてるから」
こちらに気負わせまいとしているのか、彼からはこの返答。
慣れているから、の訳は…やはり姉の羅々さま絡みだった。昔から飲み会の送迎に幾度となく駆り出されてきた、と。
羅々さまご自身はザルだけど、その泥酔したお友達を介抱したり、絡まれたことは数知れず。だから酔っ払いの言動なんていちいち気にしていない、と教えてくれた。
「人居んのに脱ぎ出す女とかいるからね」
「た…大変でしたね…」
やがて車は紫の自宅、住宅街のなかにある、3階建ての団地風アパートに辿り着いた。
邪魔にならない場所に車は停められる。紫の足を軽く叩き、顔のすぐそばで呼び掛けた。
「紫、起きて!おうち着いたよ!」
「ん~、むり~、うごけな~」
まだ半分眠っている彼女は、わたしにくっついたままぐずった。その言葉通り、自力で歩くのは無理そうだ…。
「…未結、雨降ってきたよ」
その呟きに目をやると、麗さまはフロントガラス越しに空を見上げている。
ぽつぽつと打ち付ける水滴の音が、わたしにも聞こえた。
この状況で雨?なんてタイミングが悪い…