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BeLoved.
第4章 【3LDK】
一瞬緊張が走る。
彼がわたしを『ちゃん』付けで呼ぶときは、いつも注意を促す時だった。
何かまずいことをしてしまったのだろうか…
「これからは君の家だからね」
その言葉にはっとさせられる。
そうか…。住み込みなのだから、ここは彼らの住まいであると同時に、わたしの住まいでもあるのだ。
…なんだか、変な感じ。わたしには分不相応にしか感じられないこの部屋で、暮らすなんて。
「ここは、俺の部屋。向かいは流星の部屋」
廊下を進みながら、麗さまはひとつひとつ説明してくれた。
玄関からすぐの、向かい合う2つのドアは『彼ら』の自室。
どちらの部屋も物が少なく、生活感の無さが相成って、とにかく広く感じられた。
そこから更に廊下を進み、収納や、トイレ、我が家の3倍はありそうな洗面所、浴室と続き、廊下のつき当りへ。
ドアを開けると、そこは恐らくLDKと呼ばれる空間。
入ってすぐの左手には、ピカピカの対面式キッチンと、その正面に置かれたダイニングテーブル。
右手には、向かい合う2人掛けのソファの間にローテーブルが置かれたスペース。壁際にはとてつもなく大きな薄型のTVが置いてあった。
…どうしてこう、何もかも広くて大きいのか。
いくらわたしの住まいでもあるとはいえ、今までの自分の置かれていた環境とのあまりのギャップに、軽く眩暈を覚え始めていた。
「──で、ここが未結の部屋」
「…!わたしの、部屋…?」
最後に辿り着いたのは、一旦廊下に戻ったすぐ脇のドア。開かれた向こうには、居心地のいい空間が広がっていた。
広さ的には、彼らの部屋の…3分の1くらい?か。廊下と同じ配色の内装に、正面にはレースカーテンのかかった、大きな窓。その窓の方を頭にして置かれた、シングルサイズのベッド。
反対側の壁際には、引き出しが3段ついた背の低いチェストが2つ横並びになって、その上にはノートパソコンまで置かれている。