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BeLoved.
第36章 【暴走】
「──…んっ!」
反射的に左手の甲で口元を覆う。
部屋を出た時、麗さまは熟睡していた。壁だって薄くはないし…確かこの位置にはクローゼットがあったはず。
でももし、起こしてしまったら?
『彼』がここに来てしまったら?
今夜は麗さまがご主人さま。だけど
今わたしを抱いているのは流星さま。
何が起こるかなんて考えるまでもない。
…何としでても避けなければいけない。
そう思い必死に全てを圧し殺したのに。
「…未結」
彼は容赦なく踏みにじるのだった。
「りゅ…っ…──ひぁっ」
一気に引き抜かれた彼自身。内側を擦られ甘い悲鳴が漏れた。
もちろん解放された訳じゃない。彼はわたしを床に下ろし鏡の方に向かせると、手首を後ろ手で一纏めにし、痛みを感じるきつさで縛り付けた。
彼の誕生日に、わたしが贈ったネクタイで。
「あ。いーな、こんなのも」
「…!」
拘束よりも彼の言葉が恐ろしかった。
愉しんでいるのがわかったから。
「っ、あ…」
長い右腕が上半身に回され抱き寄せられる。 そして片足だけが洗面台に乗せられる。
さっきまで満たされていたのに、中途半端な所でお預けを喰らってしまった秘部が晒される。
見えないけど…分かる。だらしなくひくついて、淫らに潤っているのが。彼は愛おしむように指先で触れた。
「今度後ろからな」
「──!あぁ…っ」
耳のそばでの囁きの後の、鈍い衝撃。そこは難なく彼を迎え入れた。再び満たされる悦びに打ち震えながら。
彼にはもう知り尽くされている疼き。それを抉るように…わたしが大好きな動き方で、攻め立てられる。声を出さないのも、感じないのも、むり…
「んぁっ…、ああっ…」
「ほら未結。見ろよ」
『見ろ』命じられた先には、鏡。そこに写るものは。
彼に貫かれ、乱れきった姿で悦びに目を潤ませ鳴く一人の"雌"。…わたしの姿。
「──いやああっ!」
襲い来る羞恥心。耐えかねて目を閉じても…彼は許さない。
「見ろって。ほら、目ぇ開けろよ」
「やだ…っも…やだあっ」
「開けろっつってんだろ!」
苛立ちが剥き出しになった恫喝。強制的に見させられた鏡の中…彼と目があった。
真っ黒で鋭くて、居抜くような三白眼の瞳と。
「──未結、答えろ」
そして彼は…『それ』を問いたのだ。
「俺と麗。どっちがいい」