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BeLoved.
第36章 【暴走】
全てが止まった気がした。
時間も、呼吸も、心臓も。
『それ』を問いてきたのは、明るく朗らかで、わたしをからかうのが大好きな、優しい彼じゃない。
『それ』を問いてきたのは──…
「どうだって聞いてんだろ。ほら!」
「!や、あ、ぁ…っ!やああ…っ!」
荒げられた語尾。緩めていた腰の動きは再び早まる。それはわたしの奥…疼きに当たり、身体中が痺れるような感覚に陥った。
「…そこ…っ、…らめ…ぇ…っ」
「おまえ、ココに当たるから後ろからが好きなんだよな?俺が教えてやったんだよな?!」
「あああ……っ!」
容赦なく攻め立てられ続け、すっかり彼のための形になったわたしの体。…『彼』の痕跡はきっと…もう、ない。
「麗にもねだったんだろ?”後ろからして”って」
「してな…っ!…も…、ゃめて…っ…こわれちゃう…!」
「──壊してやろうか?」
喚くわたしとは真逆の──低く静かな、囁き。
耳のすぐ側で響くそれはわたしに滲みていく。
「…ほら。壊してやるよ。俺が!」
「ひぅ?!」
その直後。頬にひんやりとした感覚が広がった。…鏡に押し付けられたのだ。後頭部と腰を捕まれ、抗うことも逃げることも叶わない。
「やああっ!…ぁんっ!…ぁあうっ!」
その状態で律動は激しさを増しわたしを犯し続ける。疼きを嫌というほど突き上げてくる。
「っあ"〰〰…マジで食い千切る気かよ…っ」
「あ…、ぁ…」
無茶な体勢による苦痛は最初だけ。『慣らされた』体はすぐに快感を見つけ出し全身をとろかせ、頭の中を真っ白にしてしまう。
もう何もわからない。わかるのは…
「りゅ…せ…」
「…ん?」
「… だい…すき…」
…それだけ。それは朦朧とした意識の中、唇からこぼれ落ちた。言わされたものじゃない、わたしが自分で発した言葉。
でもそれは彼の望むものじゃない。
彼が欲しいのはもっと、確かな言葉。
「…違うだろ。俺と、麗。どっちがいい?」
「わた…し……ぁっ!ああんっ!」
彼は疼きを突く。
早く言えと促すように。
「そこっ…っ、だめっ…だめえ…っ!」
「じゃあ言えよ。…なあ、未結?!」
全身を萎縮させる怒鳴り声。そして
彼と『彼』どちらがいいか。
『それ』を問いてきたのは─…
「言えよ…」
わたしの知らない、流星。
「俺だけが居ればいい って…」