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BeLoved.
第36章 【暴走】
「──あ…っ、く…ぅっ、…んんっ!……」
流星さまがわたしから出ていく。
ゆっくりと、わざと時間をかけて。
自分の感覚をわたしに刻みこむ為に。
敏感になりきったわたしのその場所にとって、彼のそれは、愛撫。苦しさと切なさが混じった声が漏れ、全身が震えてしまう。
──程なくして、体の奥が軽くなった。
ようやく解放されたわたしはそのまま床に崩れ落ちた。呼吸が落ち着かない。洗面台の足元に凭れ、ひたすら酸素を貪った。
死角で、ゴミ箱に何かが投げ捨てられた音がした。…恐らく、用済みとなった避妊具だろう…
「──おいで、未結」
腕を取られ、引き寄せられた先に待っていたのは…キス。
呼吸がまともでない今の状態では苦しい。しかしわたしにはもう、抗う気力など残ってはいない。ただ、受け入れるだけだ。
唇の隙間から入り込んできた熱い舌は、わたしのそれに絡み付いた。そのとろけるような感覚に酔いしれ、反射的に身をよじる。
「……う!」
瞬間、体が強張った。節々に痛みが走ったのだ。堪らず苦痛の声が漏れた。
「ぁ…ふぅっ…」
でもそんなこと彼には関係ない。
だって彼はまだ満足していない。
わたしを貪り尽くしたくて、完全に自分のものにしたくて堪らないのだ。噛み付くようなキスは続く。
「つ、…んん……、…」
唾液が顎を伝ってゆく。
…どれくらいそうしていたのだろうか。
ゆっくりと体が離された。
肩で息をしながら項垂れた視線の先、自分の手首が目についた。
きつく絞められていたはずのネクタイはいつの間にか緩み外れ、ただまとわり付いているだけになっていた。
その隙間から垣間見えた赤黒い痕。
…アザになってしまっていたのだ。