この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
BeLoved.
第36章 【暴走】

『──あーやっと出た。俺だけど』

聞こえてきたのは、もちろん流星さまの声。
でもその声はいつもより暗く、早口だった。

『──悪ぃ、俺しばらく帰れねーわ』
「え?」
『…ちょっと面倒くせーことになった。戸締まりちゃんとしろよ。じゃーな』

それだけ告げられると一方的に切られた。
不通を知らせる機械音だけが、繰り返し耳に届く。わたしは無言で携帯を閉じた。

何の根拠も無いのに一つの考えが頭に浮かぶ。…麗さま何かしたんだ!



「って言いたげだね、未結」
「!!」

突然背後から声がかかり反射的に振り返る。しかし彼の目線は食事に向けられたままだ。

「えっ…えぇっ?な、なんのことですかっ?」

わざと明るく振る舞い、台所の隅の方へ駆け込んだ。その何もかも見透かしたような声から逃げるために。

わたしは電話の相手を言っていない。
でも麗さまは知っている。流星さまからで、彼が今どんな状況にいるのかも、麗さまには判っている。

…何をしたの?全身から汗が滲み出し、鼓動が早まってきてる。

「本当に嘘が下手くそだね、未結は。そこが可愛いんだけど。…いいよ、教えてあげるね。有建の何処かをちょっといじったの」
「いじった…、って…何…」
「手首、まだ痛そうだね」

───ばれていた。質問への答えもない。しかし彼は口調も表情も、食事に夢中なところも、普段と何ら変わらない。
だからこそ余計に──怖かった。

そう、今わたしを支配しているのは恐怖だ。
麗さまが何を考えているかわからないから。

違う。ひとつだけハッキリとわかっている。

『彼』は彼の気に障り過ぎたのだ。


わたしは何て間抜けなのだろうか。
普段の優しさと愛情にほだされて
また失念してしまっていたんだ。

彼の本質。気に障るものに容赦はしない。

彼は流星さまよりも強引で遥かに冷酷で
流星さまよりずっと『怖い人』なんだと。
/404ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ