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BeLoved.
第36章 【暴走】
「心配しないで。記者会見やる程でもないし、まして潰れるなんてありえない筈だから。トチる様なら、そんなボンクラは失脚した方が会社の為」
「……」
「ごちそうさまでした」
そして彼は箸を置いて手を合わせた。
それも見慣れたいつもの仕種。でも今は違う。
彼が動くための全てが整ったのだ。
「…今度は俺にも教えてね」
やっとわたしを見た彼の表情は穏やかだった。
けどわたしはもう…立っているのがやっとだ。
逃げ場はない。怖い…怖い!
どうしてそんな顔をするの?
あなたは何を考えているの?
「な…、にを…ですか…」
自分の声が震えているのがわかる。
『彼』は彼の気に障りすぎた。
そしてそれは─『わたし』も。
霞みかける視界のなか、わたしのご主人さまは…麗さまは、穏やかな口調で告げた。
氷みたく冷たい視線でわたしを射抜いて。
「本当に俺のこと要らないのかな、未結ちゃん」