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BeLoved.
第36章 【暴走】
「──流星はね、あれでいいんだよ」
彼のそれは、静かな声だった。
激昂も興奮もない、穏やかさすら纏ったもの。発せられた言葉も、元凶であるはずの『彼』への意外なもの。…でもその声に、底知れぬ冷酷さが孕まれている事はもう明白だった。
「あれくらいイカれてないとね」
「…っ」
「トップなんてやってられないから」
「──ああぁ…っ」
わたしのそれは、悲鳴にも似た嬌声。剥き出しの秘部に、彼の分身が入り込んだのだ。──普段なら必ずあるはずの指や舌での愛撫。わたしに苦痛を与えないための優しさ。そんなものはなかった。
「でも未結に関しては別」
「……んん…っ」
なのに。『気持ちいいこと』を知り、覚えてしまったわたしの体の…『そこ』は、多少のきつさを伴いながらも彼を受け入れた。耳やうなじへの刺激だけで潤って、解れて……欲していたから。
だって麗はいつも、わたしの疼きを見つけてくれて…触れてくれるから。はじめて彼と結ばれた日から、ずっと。
『彼』のベッドで抱かれている今だってそう。貫かれた襞はもう彼に絡み付き、奥へ奥へと導いていく。
──だめ。いくらなんでもこんな状況で。絶対にだめ。とろけ始めた脳髄に、微かにだけれど残されていた理性。
「っ、ん…っ、…ゃ、…れ、やあぁ…っ」
いやらしい自分からも、彼からも、逃げるために身をよじった。けれど、そうすればそうするほど、寝具に色濃く残された『彼』の香りと感覚はより鮮明に突き刺さってくる。
どうしていいかわからなくて。どうしようもなくて。ただただ「いや」と繰り返すしかなかった。…それはもう、許しを乞うよりも助けを求めるものであったかもしれない。
「なにが嫌なの?後ろからは好きだよね」
通じない。攻め立ても止まらない。だって彼はこの状況にわたしを貶めたいのだから。『彼』と同じくらい彼の気に障りすぎた、わたしを。
「…今日は優しくしてあげない」
彼の静かで穏やかな声は──冷酷さを増した。
その声は、彼自身よりもわたしに入り込んだ。
わたしの奥の奥に。何度も、何度も、何度も。
──流星、自分だけ満足してない?
──未結の好きなところ、触ってくれる?
──未結の好きなところ、舐めてくれる?
──ほら、教えて?未結ちゃん。
「ボンクラ、テメーだけ満足してない?」