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BeLoved.
第36章 【暴走】
「わたし」の深みを知るのは、世界に二人。
彼はその一人。何処をどうされるのが好きなのか。弱いのか。──望んでいるのか。もう知り尽くされている。…だって、ほら。
「っ、ぁ、…はっ…、ああんっ…、あ……」
中が満たされる度に、罪悪感も恐怖心も霞んでいく感覚が沸き起こる。名前なんかわからないのに確かに存在して、わたしを支配するもの。彼はそれをいつも呼び起こす。
堕ちかけた──その時だった。
「……、うぅっ?!」
「未結、知ってる?」
突然口を塞がれたのだ。彼の掌で。息苦しさに眉を潜めたわたしに降り注いだのは…冷めた声。
「セックスの時に女が出す声はね、相手の男のためじゃない、他の男を呼び寄せるためのものなんだよ」
「──?!」
そして、独占欲に満ちた視線。繋がれた方の手にも力が籠り…激しさが再開する。ほんのさっきの蜜事が嘘のように。
それでも、呼び起こされてしまった名前のわからない感覚は収まらない。熱と共に内壁を抉りつけていく彼に、身体は──堕ちていくしかなかった。
「んんっ、──!…んん!」
快感と苦しさ。全く正反対のものが、心と体の中で溶けて交ざり合い、溢れ出していく。愛液と涙になって。
「──このまま出してあげる」
遥か彼方から聞こえたような錯覚に陥った頃には。半ば意識を失いかけていた。