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BeLoved.
第37章 【暴走の果て】
「どうだった?」
「やっぱり…でした…」
検査と診察を終え、下された診断は見立てどおり膀胱炎だった。
待合室にいてくれた羅々さまに報告。心配をかけてしまったことをお詫びし、連れてきてくれたことを心から感謝した。
「いいのよ、あたしも安心したかったから。でもこうなったからには当然、夜の方も禁止ね」
「!…ぁ…」
赤面してしまった。
膀胱炎は細菌による感染症(疲れとストレスに加え、先日の高熱が引き金になったらしい)。そして症状が出ている今は、それだけ菌に対する身体の免疫力・抵抗力が落ちている状態。
お互いの体液や粘膜が触れ合う性行為は、悲しいかな様々な菌の感染経路としては最たるもの。今のわたしには少し危険なのだ。
お医者さまには特別なにも言われなかったけど、やめておくに越したことはない──という以前に、彼らとは顔すら合わせていないけど…報告はしなくちゃ。
浮かない顔のわたしの心中を…おそらく、違った意味で察してくれた羅々さまは『あたしが言ってあげるから大丈夫』と胸を張ってくれた。
───────
「──あ、麗?あたし。5分いい?話があるの」
「!」
さて、帰宅するため乗り込んだ羅々さまの愛車。運転席に座るやいなや「電話させてね」との断りのあとスマホを操作した羅々さまは……麗さまに電話を掛けていた。
もちろん、今回のことを伝えるためだけど…まさか病院帰りのこの足でとは思わなかった。
けど、さらに予想外の展開が待っていたんだ。
「──そう。そうなのよ。それで──」
「……」
「未結ちゃんはしばらくうちで預かるから」
「えっ?」
『うちで預かる』そんな話は聞いていない。
無礼も忘れ、通話中のところに割って入ろうとしたのは…やんわりと制止されてしまった。
「──あんたも流星くんも、未結ちゃんがそばにいたら我慢できないでしょ?わかるのよ」
「羅々さ…」
「まぁ、療養休暇ってところね。じゃね」
まだ何か話している麗さまを無視し、通話を絶ち切った羅々さまはこちらに笑顔を向けた。「そういうことだから」と、有無を言わさぬ綺麗な笑みを。
「さっ、行きましょ」
「はい……」
強引な流星さまより強引な麗さまのお姉さまは、更に上をいく強引さ。わたしに反論の余地などなかった。