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BeLoved.
第37章 【暴走の果て】
「オイ麗、羅々姉の旦那、マジで未結に手ぇ出さねーだろーな」
「ボンクラ。言ったろ。お義兄さんなら絶っ対大丈夫だ。あの人姉ちゃんにしか興味ないドMの忠犬だから、誰かよりよっぽど信用できる」
「ほー。で、誰かってだれ」
すぐそばにわたしが居ると気付いていない二人は、素の会話を交わしている。
それは全く普段通りというか……というか…どうしてあんなにも普通なの。あの日あの時のあの一触即発の雰囲気は何処にいったの…?
そこは長い付き合いだから?…うん、たぶん、わたしが居ない間に何らかの『動き』はあったんだろうけど…それにしたって。
「……」
『麗と俺どっちがいい』
『──流星より好き?』
…あの問いにだって答えていないのに。…答えだって出ていないけど……待って待って。勢いで帰っては来たけど、何から話せばよかったの?どうするつもりだったの?わたし。
今更頭の中をこんがらがらせていた時だった。
「麗ー。俺ついに幽霊だけじゃなくて幻覚まで見えるよーんなったぞ」
「安心しろよ俺にも見えてるから」
「!」
彼らは揃って振り向いていた。
「たっ、ただ、ただいま、帰… …?!」
ました。語尾まで言うことは叶わなかった。
何故なら。
「ごめんなさい」
彼らが揃ってわたしに頭を下げたから。