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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
「すごい…」
通されたのは37階の…スイート。広い広いそのお部屋はリビングルームとベッドルームが分かれていて、ドア続きになっていた。天井も高いし、大きなソファも、その上に置かれたクッションもスタンドも、果てはティッシュケースでさえも、高級なものだとわかる…。
極めつけは、奥の…幅は壁から壁まで、高さは床から天井まで届く窓ガラス一面に広がる…お世辞抜きで都内を一望できるような絶景。
何なのこれ…。床にぺたんと座り込み荷解きをしている間も、周りを見渡しては溜め息しか出なかった。
「未結来てみー。風呂こっちだよ」
「あ…、はい!」
ベッドルームの方から声がかかった。どうやらその奥にバスルームがあるらしい。
お部屋がもうこんなに素敵なのだから、お風呂もさぞかし…?期待と興奮に胸膨らませながらリビングとベッドルーム(これがまた何処の王族がお休みになるの?と思う広さのベッドがあった…)を通り抜け、バスルームに顔を出した直後。面喰らった。
「?!りりり、流星さま?!」
「なに」
「おおおお風呂!壁がないです!!」
大人二人が入っても充分寛げる広さと大きさのジャグジー。お洒落な形のシャワーヘッド。それらが全部丸見えだったんだ。
「バカ。ガラス張りなの」
一人慌てふためくわたしを尻目に、彼は平静そのもの。何処からか手にしたリモコンを操作すれば、ガラスは瞬く間に曇り視界を遮った。
「…てか未結な、もっとやべー事があんのよ」
「ななな、なんですか?!」
突然、彼の眉間に皺が寄り表情が曇った。
な、何だろう…?お仕事で何か問題でも??それともまさか、お、おばけ…?!
「ここ、全館終日禁煙なんだ」
「……」
──わかっている。忘れていない。
彼とわたしは住む世界が違うって。
わたしにとっては非日常なこの空間だって
彼にとっては日常。既にくつろぎモードだ。
振り回されるのはいつだってわたしだけ。
彼はいつでも何処でも彼そのものなんだ。
もう何度目かな、それを認識させられるのは。
もう慣れすら覚えた淋しさを感じた時だった。
「だから俺が煙草吸いたくなったらキスして」
「!」
つまり今。と。
わたしの返事も待たず重ねられた唇。
「…ん」
──本当に彼はいつでも何処でも彼そのもの。
でもそれを受け入れ…楽しんでる自分がいるのもまた、事実だけど。