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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
何故だろう、声が出せなかった。
答えなんか、とっくに出ていたのに。
だから、『ここ』に帰ってきたのに。
「……」
言葉にして伝えた方が彼は安心する。
それもわたしはよく判っているのに。
ただ彼の瞳を見つめ返すだけだった。
「…わたし…」
待たされるのを嫌う彼。だけど今このときは
返事を急かしたりはしない。待ってくれてる。
「…、」
このときの自分にようやくできたことは。
彼の首に腕を回し、抱き締める事だった。
「…これ、良い方に取っていーの?未結」
「……」
──そして、頷くこと。
すぐさま抱き締め返され、わたしは
彼の温かさと清涼感のある香りに包まれた。
「愛してる、未結」
──本当は気付いてた。
見つめ返した彼の瞳に写ったわたしは
これ以上なく『満たされて』いたって。
────────
「っ、は…っ、…んん…っ」
だらしなくはだけさせられた服。剥き出しになった肌。そこに、彼は唇を這わせていく。…自分の痕跡を残すために。
「ひ…っ!あっ、ゃあんっ…」
胸元やお腹、脇腹。柔らかくて敏感で、より色濃く痕が残る場所に、口付けは集中して。
ひとつひとつに過敏に反応してしまう体に、彼の大きな手が添えられた。…そう、逃げられないように。
「病み上がりだもん、最後まではしねーから」
「!や…ぅっ」
「俺が耐えられればだけど」
言葉を発するときの吐息ですらも、今のわたしには愛撫でしかなくて。全身が潤んでいく。
「やだぁ……っ」
「未結、かわいー…」
…耐えられないのはわたしの方かもしれない。