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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
「あ…ゃだ、そこ……っ」
ゆっくりと開かれた両脚。その内側。
そこにも痕は刻まれる。より丹念に。
そこはある意味彼の『お気に入り』。
だってそこは…『彼』に『見せ付ける』には
うってつけだから。
「ひあっ!」
一際強く…本当に、血を吸われているんじゃないかと錯覚する程の力で刻みつけられる痕。
反射的に避けようとしても、彼の手はそれを許さない。むしろ離さないと言わんばかりに力がこもり、わたしを捕らえ続ける。──彼が満足するまで。
「あぁ…っ」
少しずつ、でも確実に芽吹き始めた疼きを、自分の奥深くで感じながら。成す術なく、柔らかな寝具に縋りつきただただ甘く鳴き喚くしかなかった。
「──あ。そーだ」
「っ…?」
突然彼の動きが止まった。…またいつもの気まぐれ?それとも急用を思い出した…?…終わり、なの…?困惑の眼差しを向けるわたしに、彼はまた飄々とした口調で言ったのだ。
「俺にも着ける?キスマーク」
「…。えっ?!」
何を言われたかわからなかった。唐突すぎて。
「未結、着けたことねーじゃん」
「そそっ…そうですけ…ど…」
「いーよ、着けて」
部屋に通された直後から既に彼はワイシャツ姿。寛げていた襟元に指を掻け、ぐいっと鎖骨の位置まで引き下ろして見せられた…けど。彼のペースについていけない…というか…
「だ、だめですよ!見えちゃったら…」
お仕事に支障をきたす。それくらいわたしにだってわかる。飛び起きて(何故か)正座しながら拒否した。両手を左右に思いっきり振ったくらいにして。
「見えねーとこならいーよ」
「……」
気まぐれなくせに一度言い出したら聞かない。
多分これ以上拒否しても無駄だ。早々に観念するに至った。
「この辺りならいんじゃね?」
鎖骨の下ラインをなぞる指先。無邪気な声と仕種とは真逆に、わたしの胸は静かに高鳴り始めていた。
第3ボタン辺りまで外され、はだけられたワイシャツから覗く均整のとれた体。大きな窓ガラスから降り注ぐ自然光のおかげで…よりきれいに、艶めしく見えてしまう。
「ま、経験してみてーのよ」
「わ、わかりましたよぅ…」
彼の知的好奇心(?)を満たすため。煩いくらいの鼓動を何とか堪え、恐る恐る唇を寄せた。
「こんなん未結にしか言わね……っ?!」
彼の肌に触れた瞬間。軽口は止まった。